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所長だより

  


2022年 春号


 今年も寒い冬が過ぎ去り、温かい春の季節がやってきました。新型コロナウイルスに関しては、もう間もなく収束の兆しを見せてくるのではないかと期待しています。

 このような状況の中で、世界に目を向けてみますと、大国ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いています。同国民の幸せを踏みにじる行為は、誠に同情に耐えない次第であります。ロシアにはロシアなりの大義名分があろうかと思いますが、武力による手段に訴えることは決して許されません。

 世界の秩序や平和や調和を乱すものには、必ずや大きなしっぺ返しがくるものと確信しています。現在のようなコロナ禍の中で本当に求められるものは「相互扶助」と「思いやり」の精神ではないかといえます。

 ところで、今回は「会社の再建」をテーマとして取り上げてみました。現在、わが国の会社組織の中で、赤字会社の割合は65パーセントといわれています。この数字は毎年国税庁より発表される「会社の令和2年事務年度の統計(R2.4.1~3.3.31)」によるものであります。

 当事務所は今年で開業45年を迎えますが、これまでに行った会社再建では、1年で黒字化する会社もあれば、何年経過しても改善しない会社もありました。小生も特に、ここ25年間はコンサル業務の何たるか、ということを理論面においても実務面においても学び、実践してまいりましたので、そのノウハウというものは十分に体得しているものと自負しております。

 この会社再建において、最も肝となるものはトップである社長の意識の改革、すなわちこれまでの事業に対する取り組み方を全面的に見直すことであります。社長の考え方や、やり方を根本から変えないことには会社は絶対に良くなりません。このことは確信を持っていえます。社長の意識改革が実現できれば、再建自体もほぼ70~80パーセントは成功したものといっても過言ではありません。

 次に大事とされるものは、「人」の問題であります。会社組織は一般的に、「人」、「物」、「金」、というものがその経営資源の三要素といわれており、今日ではこれら以外に「情報」というものが加わってきます。中小企業においては大企業と比較し、これら4要素のいずれも十分に備わっていません。それでも、同業ライバルと戦い、勝利していくためには雇用しているスタッフの質の面を一定程度に上げる必要があります。それ故、スタッフに社長の持つ経営理念すなわちそのビジョンなり、哲学や思想や人生観を明確に示すことにより認識し、共有してもらうことであります。

 次は、再建期間を何年とするかを決めなければなりません。まずはその間の利益計画と一年ごとの短期の利益計画を作り上げることになります。これらの計画を立てる場合に、利益のもととなる「売上高」の目標については必ず社長自らの手により作成されることが前提であります。この場合、大事なことは、「全身全霊を込めて」必ず達成するという集中力をもって策定することであります。

 これらが決まれば、後は毎月、短期の利益計画の目標と実績とを比較・検討し、問題点がどこにあるのかを見つけ出し、対応策を打っていくことの繰り返しであります。

これらは、品質管理の父といわれるW・エドワード・デミングが提唱したPDCAサイクルであり、Plan(計画)Do(実行)Check(測定・評価)Action(対策・改善)を循環させることにより会社の目標となる業績を達成していくものであります。

 なお、黒字会社においては、このPDCAサイクルを採用し、徹底させることにより毎期好業績を挙げているところが数多く見受けられます。

 以上、会社の再建におけるプロセスについてその概略を述べてまいりましたが、お分かりいただけましたでしょうか。

 最後に、関与先の皆様方には、これまで経験したことのないコロナ禍という厳しい社会環境の上に、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻という人災の状況下において、経営のかじ取りを行っていかなければなりませんが、これらの難局を前向きな姿勢で乗り切っていきましょう。